【名前募集中】golden fish
2021-02-02
金魚。
観賞魚として親しまれているが、祖先は『ギベリオ』という中国のフナである。
突然変異で赤くなる個体を人為的に選択し交配を重ね、品種改良を行い様々な色・形態となる。
背びれのない魚、目玉の飛び出た魚、頭にこぶのある魚、長いひれの魚や黒い斑点のある魚たちなど、50種類にもなるらしい。
そんな彼らは泳ぐのが下手だし摂食も苦手である。
お祭りで捕った金魚を、かわいそうだからと近所の川や池に逃がすことは残酷な行為で、すぐに捕食されてしまう。
そう、彼らの故郷は水槽で、自然界では生きていけない人間のエゴが作り出した魚たちなのだ。
ある日、ホームセンターに仕事で使う材料を買いに向かった。
何気なく覗いたペットコーナーで、なんとも奇妙な金魚に出会った。
その名を「水泡眼」。
こぶとり爺さんのように頬に大きな水泡を揺らし、上を向いた眼球では前を見て泳ぐことが容易ではないであろうそのフォルム。
社長が言っていた。
「弱いものを守り、困っているものを助けるのが我々の仕事です」と。
『この水泡眼ください』
正しいことをした。
引っ越したばかりの本社事務所は、物も少なくどこか殺風景で、観葉植物などでよい環境づくりをしようと声もあった。
観賞魚である金魚はもってこいだ。
まず、見て癒される。
そして、フィルターを通り水槽に戻る水の音はまるで小川のせせらぎのよう。
さらに、減った水槽の水の量からかなりの加湿機能もあると言える。
カンパイの一員として社員の心を癒し、真冬の乾燥より肌や喉を守り、ちょろちょろと無限に続く音色で眠気を誘う彼の名前を募集します。
彼女かもしれませんけど…
(記:黛)